現実の道路状況、車の性能といった実際の運転には役に立ちそうもない内容であることは間違いない。受講生個々の運転適性に応じた指導とか、大人数での講義でどれだけ交通事故をなくすことに役立っているのかという、これまで問題とされてきたことにはノータッチであるし、外国で採用されている専門家によるカウンセラー制度を取り入れようとする動きはない。教習所の教官として日頃感ずるのは、「あこの男はどこか、おかしいな。いずれ事故を起こすんじやないか」と思う人間を受講生の中に見かけることがあることだ。こういうタイプに限って運転の初歩的な技術は早くマスターするが、どこか人開的に欠陥があるんじゃないかと思わせる部分が見受けられるのだ。あいさつを返してこなかったり、指導に対する反応、表情とかで感じることに過ぎないが、何か教官である私を不安にさせるものを感じるのだ。もちろん、だからといって、私のような一介の教官に一人の受講生を正しい道に導くほどの努力を抑しつけられても困るのだ。行政はそういう人間にも平等に無条件で免許を与えることにしているのである。せいぜい、事故を起こす時には、歩行者ではなく運転者の方が傷つくような事故の起こし方をしてほしいと願ってはいるのだが、実際はそうもいくまい。