彼はついにTOEICレベルBに達した。インターネットでのぞける成績表を見て、私は彼女がまた訪ねてくるだろうと思った。TOEICのレベルを上げるプレッシャーから解放されて、こんどは純粋に英語を征服してみたいという意欲が生じただろうから。はたして、初夏のある日、彼女は手みやげ持参で私の事務所を訪ねてきた。事務所のスタッフともども話がはずみ、彼女がかつてフランス文学を学んでいたことがわかった。彼女が照れくさそうにしながら口にした、いくつかのフランス語の発音はなかなかのものだった。「これで全部です、私のできるフランス語は。もっと早くこのノウハウを知っていたら、フランスにも留学できたかもしれませんね」このとき、彼女は自分でも気づかぬうちに、留学に成功するための必要条件を指摘していたのである。