私が自転車旅にエントリーした1970年代の後半は、サイクリング用自転車と言えば、フランスタイプの「ランドナー」という車種が圧倒的多数だった。その語源は、フランス語における「遠乗り」という意味(『スタンダード仏和辞典』大修館書店)。このような「日帰りの遠乗り」にこそ、自転車旅のエッセンスが詰まっていると思う。誰しもそうだったと思うが、サイクリングを始めたばかりの高校生当時、休みの度に朝家を出て、夕に帰ってくるという走行を繰り返していた。
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ときには日がどっぷり暮れてしまうこともあり、ただ走り回っていただけの面も強かった。が、そうやって自分の行動半径が広がってゆくのが楽しくてたまらなかったのである。やがて自転車を軽く分解して鉄道に載せる「輪行」を経験したり、もっと後では車で出発点まで行く「カーサイクリング」を利用することで、さらに行動半径は広がってゆくこととなる。「日帰りの遠乗り」には、あわただしいイメージを持つ人があるかもしれないが、むしろ私の場合にはたんねんに地域を探訪する場合は、日帰りサイクリングにすることが多い。宿泊のための装備を持たなくてもいいので、その分昼食を野外で作る装備や、一眼レフカメラなどを携行しやすいことも理由のひとつである。