「英語が聴けない、しゃべれない」のは、耳の聴きとり訓練をしていない理由のほかに、日本語の特殊な言語構造にもよることが考えられます。ギリシア語やラテン語を先祖としているヨーロッパのことばはみな親戚のようなものですが、私たち日本人にとっては、やはり髪の毛や目の色が違うほどに、異国のことばといわざるをえません。違いの一つは、発音です。英語の初心者用の辞書には単語のルビを振ってあるものがたくさんありますが、これをみると、発音を表記するのに、大変苦労した様子がうかがい知れます。たとえば「トラベル」ということばはすっかり日本語になっていますが、英語のスペルは「travel」で、発音記号は「traevel」、ルビは「トラあヴる」です。発音記号の「r」や「l」は日本語の発音では表わせないので、ひらがなで表わして、日本語風に「ラ」や「ル」と発音しないように注意を喚起しています。これを私たちのローマ字表記にすると「toraberu」と書きます。これではまったく別のことばになってしまって、英米人には何のことやらさっぱりわからないことでしょう。